2010年8月22日日曜日

年金払い方式の生命保険に相続税と所得税を課していた二重課税問題で、生命保険業界と国税庁が契約者への税還付をめぐって対立している。両者の隔たりは大きく、生命保険協会の渡辺光一郎会長が表明した「年内還付」が大きくずれ込む懸念も出てきた。

両者が対立しているのは、2年目以降の年金の税還付。遺族に支払われる死亡保険金を10年間などに分割して受け取る年金方式は、1年目の年金は納めた保険料の元本から全額が支払われ、2年目から保険料や保険金の運用益が含まれる仕組みになっている。

最高裁判決では、「少なくとも1年目の年金は全額が元本で、運用益部分がないため、所得税を課税できない」として、所得税分の還付を命じた。しかし、運用益が含まれる2年目以降については判断を示していない。

国税庁は「運用益は新たに得られる所得であり、所得税の課税対象になる」との立場。このため、2年目以降は、運用益部分に所得税を課し、元本部分に課せられた所得税だけを還付対象としたい考えだ。

これに対し、生保業界は、2年目以降も、所得税全額を還付対象にするよう求めている。年金のうちどこまでが運用益部分で、どこまでが元本部分かを算定するのが難しいためだ。

国税庁は、「算定方法についても検討を進める」としているが、業界側は「そうなると一つ一つの契約を精査するしかないが 事実上、不可能」(大手生保幹部)と反発している。

生保協会の調査では、還付請求ができる5年以内の契約だけで二重課税の対象は約20万件で、所得税は300億円に上る。野田佳彦財務相は、5年超でも還付対象とする救済措置を表明しており、対象契約は大幅に増える。

2年目以降の年金への課税方法は、今後の支払いにも適用され、運用益と元本部分に分けて課税することになれば、生保はシステム変更などで大きな負担を強いられる。このため、生保協は、「分かりやすく簡素な課税方法にしてほしい」と要望している。

税還付には契約者の洗い出しや通知で生保業界の協力が不可欠。ただ、専門家の間でも「税の公平性の観点からも、運用益の所得税を非課税にするのは問題」との法解釈が一般的。落としどころはみえず、税務当局と業界の交渉の長期化は避けられない状況だ。
産経新聞より

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